有栖川宮を名のって結婚披露宴詐欺を開いたとして、某男性と某女性に実刑判決が出ていたな〜。
まあ、有栖川宮の血脈を引いていないのにそれを名のることが、いい事か悪いことか、と問われれば、もちろん悪いことなんだろうけど・・・、
じゃあ、有栖川宮の血脈を引いていればいいのか、というとそう単純でもないような気がする。

だいたい、血縁関係なんてたいした意味があるわけでなく、平安京を築いた桓武天皇のDNAと今上天皇のDNAがどの程度一致するのか、疑問だ。
今上天皇のDNAより桓武天皇のDNAとの一致度が高い人なんて、たぶん一般庶民の中にたくさんいる。
不敬と言われるのを覚悟で言うと、南北朝時代以後、天皇家は文化なのだ。もちろん、今はなき公家も含めて。
だから、華族制度が現行憲法よって廃止されたときに、天皇家は丸裸にされたわけだよね。
今や、か細い文化になってしまった。

たとえば、茶道の表千家とかもそうで、
別に当代の当主が日本で一番茶道に精通しているわけでもないわけで、利休以来の名品を相続する千家自体が文化であり、幼少の頃から茶道を徹底的に教え込まれているにすぎない。

話を元に戻すと・・・、
天皇家は文化なのだから、血脈は必要条件であっても十分条件ではないのだ。
だから、たとえ有栖川宮の血脈を引いていても、有栖川宮家が廃絶されている今、有栖川宮を名のってもたいした意味がない。

が、しかし、
これを「うまみ」と思って一儲けをたくらむ奴がいる。
で、怪しいことがわかっていても・・・だ。
そいつらが被害者というのは、少し・・・疑問だ。

ずっと昔、
今から150年ほど前のアメリカには「皇帝」がいた。
そう、いるはずのない皇帝が。
場所はサンフランシスコ。
彼の名前は「ノートン1世」。

彼は、サンフランシスコの新聞に「アメリカ合衆国皇帝ノートン1世」を宣告しているのだ。
いるはずのない皇帝なんだから、もちろん怪しい。
しかし、当時のサンフランシスコ市民はそれを受け入れた。
劇場には皇帝専用の観覧席が設けられ、市も皇帝費を計上した。
ほとんどの店が、彼に敬意を払い無料にした。
それでも、生活費に困った彼は「皇帝債」を発行し、それを市民は喜んで買った。
彼の葬式には、何万人もの人が参列し、今も墓碑銘には、「アメリカ合衆国初代皇帝 メキシコ護国卿 ノートン1世」と刻まれているらしい。

思うらく・・・、
当時のサンフランシスコ市民には、彼を受け入れるだけの寛容とユーモアの精神があったのだ。
もちろん、彼にも市民を引きつけるだけの魅力があったのだろう。

そして、今の日本にはそれがないだけなのだ。
それはとても淋しいことだ。

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