今日、あることで会場を借りに、とある市民会館に行くと、
「事務長さん、お久しぶりです。」
と声をかけられた。
以前、病院勤めをしていたころの薬品会社のプロパーさんだ。
(今はMRって言うんだよね〜)
え〜と名前なんだっけ???
仕事も役職も変わったけれど、この人には今でも事務長さんなんだな〜と思いつつも、名前を思い出さないので、こっちも昔どおり、
「あっ、プロパーさん、お久しぶりです。お元気そうで。」
と挨拶。
そのまま、喫茶店でしばらく話しをした。
この人には、いろいろと仕事のことでお世話になったんだよね。
いきなり医療業界に入って、右も左もわからないぼくに、いろいろと教えてくれたのは、この人と婦長さん。
今でも頭が下がる。
「事務長さん、太りました?」
「そうですか(笑)まあ、あの頃は神経磨り減らしてましたからね。あいかわらず、あの病院の担当ですか?」
「はいはい、あそこは若い人では勤まらんですから。」
「はいはい」というこのおっさんの口癖が妙に懐かしい。
「いまは、MRって言うんですよね。」
「はいはい、でもプロパーさんでかまわんですよ。ま、しかし、最近は違う意味でもプロパーですがね。」
「と言いますと?」
「最近は、うちの会社でも派遣社員さんが増えましてね。わたしみたいな、生え抜きの社員をプロパー言うんですわ。知らんですか?」
「ええ、初耳です。」
「うちの娘が、服を売ってるんですが、バーゲンでない服のこともプロパー言うみたいやし。ほんまにややこしいわ。」
ほ〜、勉強になったな〜。
「ところで、プロパーさんの業界も最近、規制が厳しいみたいですね。」
「はいはい、ただ、規制と言うより、経費節減という意味の方がおおきいですわ。事務長さんがいた頃が、いい頃の最後だったですわ。最近は、学会の時ぐらいしか、思い切った接待できんです。」
「そうなんですか。」
「そやから、営業もずいぶん変わりましたよ。昔は、薬品選定の権限を持っている科長クラスとかに接待が集中してましたけど、今は、若い医者がターゲットなんですわ。銀座方式いうんですが。」
「銀座方式ですか?」
「はいはい、銀座のクラブでは、10年後を見越して、これ、という見込みのある若い社員さんには親切にしておくんですわ。これと同じで、なりたての医者の頃なら、安い接待でも効果ありますやろ。なりたての頃は困ることも多いから、何かと親切にしているうちに、うまい関係が作れるというわけですわ。世間知らずさんが多いですから。」
「あ〜、ぼくに親切にしてくれたのもそういうわけですか?」
「はいはい、あ〜いえいえ、今のは口癖で。」
まったく、海千山千の世界。
あぶない、あぶない。
と気がつくと、プロパーさんが煙草をすっている。
「あれ、プロパーさん、煙草を吸いましたっけ?」
「ああ、これは営業用にはじめたんですわ。」
「営業用ですか。医療業界は禁煙の嵐でしょう?」
「はいはい、でも、う〜ん、そうでもないんですわ。それに、最近、病院裏とか喫煙場所が限られているから、肩身がせまい分けですわ、喫煙者は。まして、医療業界。喫煙場所で煙草を吸っていると、妙な連帯意識というか、まあ、自然に話ができるというわけですわ、その場所に行くと。これは、けっこうつかえますわ。」
あっぱれなプロ根性。
ここまで徹すれば、感心するしかありません。
怖い、怖い。
「ところで、プロパーさんとこって、タミフル扱ってるんでしたっけ?」
「はいはい、うちではないですよ。でも、あそこのMRは、自分の子どもには服用させんって言うてましたから。まあ、それ以上は聞かぬが花ですわ。まあ、しかし、政府が買ってますやろ。左団扇ですわな、あそこは。」
本当に怖い世界だよ。
「事務長さん、お久しぶりです。」
と声をかけられた。
以前、病院勤めをしていたころの薬品会社のプロパーさんだ。
(今はMRって言うんだよね〜)
え〜と名前なんだっけ???
仕事も役職も変わったけれど、この人には今でも事務長さんなんだな〜と思いつつも、名前を思い出さないので、こっちも昔どおり、
「あっ、プロパーさん、お久しぶりです。お元気そうで。」
と挨拶。
そのまま、喫茶店でしばらく話しをした。
この人には、いろいろと仕事のことでお世話になったんだよね。
いきなり医療業界に入って、右も左もわからないぼくに、いろいろと教えてくれたのは、この人と婦長さん。
今でも頭が下がる。
「事務長さん、太りました?」
「そうですか(笑)まあ、あの頃は神経磨り減らしてましたからね。あいかわらず、あの病院の担当ですか?」
「はいはい、あそこは若い人では勤まらんですから。」
「はいはい」というこのおっさんの口癖が妙に懐かしい。
「いまは、MRって言うんですよね。」
「はいはい、でもプロパーさんでかまわんですよ。ま、しかし、最近は違う意味でもプロパーですがね。」
「と言いますと?」
「最近は、うちの会社でも派遣社員さんが増えましてね。わたしみたいな、生え抜きの社員をプロパー言うんですわ。知らんですか?」
「ええ、初耳です。」
「うちの娘が、服を売ってるんですが、バーゲンでない服のこともプロパー言うみたいやし。ほんまにややこしいわ。」
ほ〜、勉強になったな〜。
「ところで、プロパーさんの業界も最近、規制が厳しいみたいですね。」
「はいはい、ただ、規制と言うより、経費節減という意味の方がおおきいですわ。事務長さんがいた頃が、いい頃の最後だったですわ。最近は、学会の時ぐらいしか、思い切った接待できんです。」
「そうなんですか。」
「そやから、営業もずいぶん変わりましたよ。昔は、薬品選定の権限を持っている科長クラスとかに接待が集中してましたけど、今は、若い医者がターゲットなんですわ。銀座方式いうんですが。」
「銀座方式ですか?」
「はいはい、銀座のクラブでは、10年後を見越して、これ、という見込みのある若い社員さんには親切にしておくんですわ。これと同じで、なりたての医者の頃なら、安い接待でも効果ありますやろ。なりたての頃は困ることも多いから、何かと親切にしているうちに、うまい関係が作れるというわけですわ。世間知らずさんが多いですから。」
「あ〜、ぼくに親切にしてくれたのもそういうわけですか?」
「はいはい、あ〜いえいえ、今のは口癖で。」
まったく、海千山千の世界。
あぶない、あぶない。
と気がつくと、プロパーさんが煙草をすっている。
「あれ、プロパーさん、煙草を吸いましたっけ?」
「ああ、これは営業用にはじめたんですわ。」
「営業用ですか。医療業界は禁煙の嵐でしょう?」
「はいはい、でも、う〜ん、そうでもないんですわ。それに、最近、病院裏とか喫煙場所が限られているから、肩身がせまい分けですわ、喫煙者は。まして、医療業界。喫煙場所で煙草を吸っていると、妙な連帯意識というか、まあ、自然に話ができるというわけですわ、その場所に行くと。これは、けっこうつかえますわ。」
あっぱれなプロ根性。
ここまで徹すれば、感心するしかありません。
怖い、怖い。
「ところで、プロパーさんとこって、タミフル扱ってるんでしたっけ?」
「はいはい、うちではないですよ。でも、あそこのMRは、自分の子どもには服用させんって言うてましたから。まあ、それ以上は聞かぬが花ですわ。まあ、しかし、政府が買ってますやろ。左団扇ですわな、あそこは。」
本当に怖い世界だよ。
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