ぼくは、基本的に、万波医師のようなタイプが嫌いではない。
医師会だの、学会だの、
男が徒党を組んで、組織の権威とルールの中でのうのうと暮らしている生き方より、
一匹狼で、自分の責任で決断し行動する姿は好ましい。

ただ、以前も書いたけど、
患者の真摯な同意は当然の前提だ。
これは、病気腎移植だけの問題ではなく、風邪薬の投与でも同じこと。
(というより、あらゆる行為は、相手の真摯な同意がなければ違法だ。りんご一つ買うことにおいても。)
説明責任を十分に果たし、患者の真摯な同意があれば、殺人以外は基本的には何をしてもかまわない。
当たり前だよね?
常識だよね?

ただね、
この間のニュース番組を見ていて、かの万波医師はこういったのだ。
「好きでやっているから・・・」
好きで手術されたら、たまらないよね。
病気腎移植をすべきか否か、苦しい中のぎりぎりの選択を超えての決断でないと。
この言葉を聞いて、患者側の真摯な同意を得ようという意思が欠けていると感じた。
「真摯な同意」とは、相手方にあらゆる情報を提供した上で、行為者が最良と思われる選択肢を提示して、初めて得られるもの。
むしろ、嫌々するくらいでないと。
好きでやるのは、趣味か、相手のいない行為。
相手がいる以上、責任が生じるわけで、
それを考えると、好きでやれるはずがない。
好きでやっている行為には、真摯な同意を得ようという意思が欠ける可能性が高い。

というか、使命感を感じるのはともかく、特定の相手方がいる仕事であるにもかかわらず、仕事を好きでやっている奴をぼくは信用できない。

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